流域治水(なんでもインフォ)

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◆はじめに
近年の気候変動の影響で、わが国では、1時間に50㎜超える短時間強雨の発生頻度が約40年で約1.5倍(1976年~1985年:平均226回→2013年~2022年:平均328回)に拡大するなど集中的な降雨が増加した結果、大規模な水害が頻発し、各地で甚大な被害が発生しています。
このような状況下で、これまでのような河川整備だけで防災・減災対策に取り組むには限界があり、氾濫域から集水域までの流域全体での治水に取り組むことが重要となります。
今回は、国土交通省ウェブサイトの情報から、「流域治水」について紹介します。

◆流域治水とは
流域治水とは、気候変動の影響による水災害の激甚化・頻発化を踏まえ、堤防の整備、ダムの建設・再生などの対策をより一層加速するとともに、集水域(雨水が河川に流入する地域)から氾濫域(河川等の氾濫により浸水が想定される地域)にわたる流域に関わるあらゆる関係者(国・都道府県・市町村、企業・住民等)が協働して水災害対策を行う考え方です。そして、集水域、河川区域、氾濫域を一つの流域と捉え、地域の特性に応じ、(1)氾濫を防ぐ、・減らす対策、(2)被害対象を減らす対策、(3)被害の軽減・早期復旧等の対策をハード・ソフト一体で進める取組です。
流域治水の施策例は以下の通りです。
(1)氾濫を防ぐ・減らす対策
 ①雨水貯留機能の拡大 【集水域】
 ・雨水貯留浸透施設の整備〔県・市等,企業,住民〕
 ・ため池等の治水利用〔県・市等,住民〕
 ・土砂、洪水氾濫、流木対策〔国,県等〕
 ②流水の貯留【河川区域】
 ・治水ダムの建設・再生、利水ダム等の貯留水   の事前放流〔国,県・市等,利水者〕
 ・土地利用と一体となった遊水機能の向上〔国,県・市等〕
 ③河道の流下能力の維持・向上【河川区域】
 ・河床掘削、引提、砂防堰堤、雨水排水施設等の整備〔国,県・市等〕
 ④氾濫水の防止
 ・「粘り強い堤防」を目指した堤防強化、排水施設・ポンプの整備〔国,県等〕
(2)被害対象を減らす対策
 ①リスクの低いエリアへ誘導【氾濫域】
 ・土地利用規制、誘導、移転促進、不動産取引時の水害リスク情報提供、金融による誘導の検討〔県・市等,企業,住民〕
 ②浸水範囲を減らす【氾濫域】
 ・二重提の整備、自然堤防の保全〔国,県・市等〕
(3)被害の軽減・早期復旧等の対策
 ①土地のリスク情報の充実【氾濫域】
 ・水害リスク情報の空白地帯解消、多段型水害リスク情報を発信〔国,県等〕
 ②避難体制の強化【氾濫域】
 ・長期予測の技術開発、リアルタイム浸水・決壊把握〔国,県・市等〕
 ③経済被害の最小化
 ・工場や建築物の浸水対策、BCPの策定〔企業,住民〕
 ④住まい方の工夫
 ・不動産取引時の水害リスク情報提供、金融商品を通じた推進対策の促進〔企業,住民〕
 ⑤被災自治体の支援体制充実
 官民連携によるTEC-FORCEの体制強化〔国,企業〕
 ⑥氾濫水を早く排除する
 ・排水門等の整備、排水強化〔国,県・市等〕

◆流域治水プロジェクト2.0への深化
今後、早期の防災・減災を実現するため、治水計画について気候変動に伴う治水安全度の目減りを踏まえた内容に見直し、流域治水の取組を加速化・深化させる必要があります。このため、国土交通省では、必要な対応、あらゆる関係者による様々な手法等について、全国109水系で「流域治水プロジェクト2.0」として順次更新していくこととしています。

◆おわりに
気候変動への対応としては、流域治水の取組などによる「適応策」とともにCO2などの温室効果ガスの排出を抑制する「緩和策」を両輪として進める必要があります。私たち一人ひとりの日々の生活においても気候変動を意識したいものです。
《出典》
・「流域治水の基本的な考え方」国土交通省水管理・国土保全局
  https://www.mlit.go.jp/river/kasen/suisin/pdf/02_kangaekata.pdf
・国土交通省 令和6年度予算概算要求概要
  https://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_003149.html

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