なんでもインフォ(国土交通白書のポイント)

 

 

  1. はじめに
    6 月 24 日、「令和 7 年版国土交通白書」が国土交通省か
    ら公表されています。今年の白書のテーマは、「みんなで支
    え合う活力あふれる社会を目指して」です。
    少子高齢化・人口減少が深刻化する中で、労働力の減少
    が懸念されています。公共サービスの担い手不足の現状を
    整理した上で、サービスの存続・維持に向けた供給者側の
    取組と、需要者側(主に国民)の理解と協力の必要性などが
    記載されています。
    今回のインフォでは、「令和 7 年版国土交通白書」の内容
    について、筆者の視点でポイントをまとめてみます。
  2. 公共サービスの現状
    (1)建設業の現状
    建設業は、労働時間が他産業に比べて長く、賃金も低い
    状態です。高齢化が顕著であり、今後も就業者の高齢化・若
    年者の入職の減少が見込まれ、中長期的な担い手の確保・
    育成が喫緊の課題になっています。
    次の図は、生産年齢人口の推移を予想しています。若年
    層の人材の確保が一層厳しくなっています。

(2)建設技能労働者の需給バランスの将来推計
将来推計の結果に基づく建設技能労働者数の需給ギャッ
プは、「2020 年基準」パターンと「生産性向上パターン
(15%)」の双方で 2030 年度、2035 年度とも供給量が不
足すると予想されています。生産年齢人口の減少を上回る
生産性の向上が求められています。
(3)地方公共団体の職員不足
民間事業者だけでなく地方公共団体においても、業務を
担う職員が減少しています。市区町村の技術系職員数で
は、5 人以下が全体の半数を占め、1 人もいない市区町村
が全体の 25%を占める状態になっています。
(4)公共サービスの制約に対する国民意識(需要者側)
サービス水準の低下が生じると困るものをたずねたとこ
ろ、「メンテナンス不足で、水道の断水・漏水が発生す
る」と回答した人が最も多く、次に、「近くの鉄道やバス
が減便・廃止される」、「宅配便や郵便物が届くまでの時間
が延びる」が多く、生活に密着したサービスの維持が求め
られています。
また、公共サービスの制約の緩和策について、「国民
(サービスの需要者)の協力や、制約の理解を得る」と回
答した人が多くなっています。

  1. 公共サービスの存続・維持のための方策
    (1)処遇改善、担い手の拡大
    賃上げなど処遇改善策として、建設技能者の経験や職歴
    を「見える化」し、適正な評価を受けられる「建設キャリア
    アップシステム(CCUS)」の導入が進められています。
    担い手の拡大については、外国人材の受入れや、女性の
    活躍と定着を推進しています。新職種として「建設ディレ
    クター」の活用が期待されています。施工書類の管理、ドロ
    ーン操作や3次元設計等のICT業務を行う新たな職種です。
    (2)省人化・省力化技術の利活用
    2024 年 4 月に更なる建設現場の省力化対策として、「i-
    Construction2.0」が策定されました。「施工のオートメー
    ション化」、「データ連携のオートメーション化」、「施工管
    理のオートメーション化」により、快適な環境で働く生産
    性の高い建設現場の実現を目指しています。
    (3)サービスの供給方法の見直し・需要者側の協力
    ①地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)
    個別インフラの維持管理に加え、広域・複数・多分野の
    インフラを「群」として捉え、効率的・効果的にマネジメ
    ントする「群マネ」の活用が期待されています。「群マネ
    の手引き Ver.1」が近々公表される予定です。

②包括的民間委託
「包括的民間委託」とは、公共施設の管理・運営に関す
る複数の業務を包括的に委託する契約方法です。市区町村
は発注業務の効率化が図られ、民間事業者は一定規模の業
務を一定期間実施できるため経営の安定化が図られます。
③住民参加型インフラメンテナンス
一部の地方公共団体で、住民参加による橋梁日常点検や、
住民による水道メーターの検針代行業務など、新たな取組
が進められています。

  1. おわりに
    建設業は「地域の守り手」として、災害の最前線で地域
    社会の安全・安心を確保する重要な役割を担っています。
    魅力ある業種の要素として、「やりがい」を含めてもらえ
    ればと感じています。
    ※【参考資料】国土交通省 報道・広報 令和 7 年版国土交通白書を公表します
    https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo01_hh_000064.html

2025.09
Tel 019-638-6834 Fax 019-638-6389
~令和7 年版国土交通白書のポイント~

発 行 株式会社 昭和土木設計
岩手県矢巾町流通センター南4丁目1-23

作成者:コンサルタント事業部
鈴木 浩行

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