なんでもインフォ(オルソ画像)

記事PDFなんでもインフォ2025年08月号 オルソ画像
記事概要
弊社ではドローンによる測量や写真撮影を行っており、通常業務の他、災害業務等に活用しています。
ドローンで撮影した空中写真は、写真の中心から広がるにつれて、建物等の側面が見える状態に写ります。そのような空中写真を正射変換したものを、オルソ画像といい、建物等の側面が見えず、写真内全てのものを真上から見ることができます。
今回は、オルソ画像とはなにか、また、空中写真からオルソ画像を作成する流れについて紹介します。
航空カメラで撮影された空中写真は、レンズの中心に光束が集まる中心投影であり、レンズの中心から対象物までの距離の違いにより、写真上の像に位置ズレが生じます。写真に写る対象物が地面から高いほど、また写真の中心から周縁部に向かうほど、この位置ズレは大きくなります。上空から撮影した空中写真では、土地の起伏(高低差)による位置ズレが生じるとともに、高い建物や周縁部のとがった山の像は、写真の中心から外側へ傾いているように写ります。
オルソ画像は、写真上の像の位置ズレをなくし空中写真を地図と同じく、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像に変換(以下、「正射変換」と記載)したものです。
オルソ画像は、写された像の形状が正しく、位置も正しく配置されているため、地理情報システム(GIS)などにおいて、画像上で位置、面積及び距離などを正確に計測することが可能で、地図データなどと重ね合わせて利用することができます。
弊社で行っている、「空中写真の撮影から、オルソ画像を作成する手順」について紹介します。
(①から④の写真は弊社で撮影した写真)
① ドローンにてオルソ画像の元となる空中写真を撮影
② 解析ソフトで空中写真を解析し点群データを作成
③ 点群データからTIN(三角網)サーフェスを作成
④ TINサーフェスを基に正射変換してオルソ画像を作成
~用語説明~・点群データ2)
空間内の物体や地形を無数の点の集合で表現した3次元データです。地表面や建物、植生等を含んだ表層面の高さのデータであり、それぞれの計測点は緯度、経度、高さのほか、色情報、レーザの反射強度(レーザ測量時)等の情報を持っています。
オルソ画像は、ハザードマップなど、身近なものに活用されています。例えば、国土地理院の「重ねるハザードマップ」では、オルソ画像と津波の浸水想定区域を重ね合わせて利用することで、視覚的に情報を得ることができます。
また、災害が起きた際は、災害発生前後の状況を地形図と組み合わせて視覚的に伝えることができるなどの効果も期待できることから、今後も、積極的に業務に活用していきたいと考えています。