新たな「水環境基本計画」(なんでもインフォ)

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水循環基本計画とは
 水循環基本計画は、2014年7月に制定された水循環基本法に基づいて、我が国の水循環に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために、政府が策定するものであり、我が国の水循環に関する施策の基本となる計画として位置づけられています。

 また、水循環基本計画は、情勢の変化等を勘案し、概ね5年ごとに見直しがなされます。近年の情勢の変化としては、令和6年能登半島地震において上下水道等の水インフラの耐震性や代替性の重要性が顕在化したことや、令和6年度から水道行政が厚生労働省から国土交通省及び環境省に移管されたことなどが挙げられます。こうした情勢の変化等を踏まえ、新たな水循環基本計画が令和6年8月30日に閣議決定されました。今回のなんでもインフォでは、新たな水循環基本計画の概要を紹介いたします。

 なお、水循環基本法において、「水循環」とは、水が、蒸発、降下、流下又は浸透により、海域等に至る過程で、地表水又は地下水として河川の流域を中心に循環することを指しています。また、「健全な水循環」を人の活動及び環境保全に果たす水の機能が適切に保たれた状態での「水循環」と定義し、基本理念として、健全な水循環の維持又は回復のための取組を積極的に推進する必要があるとされています。

新たな水循環基本計画での「重点的取組み」
今後概ね5年間の「重点的取組み」は以下の通り。
1. 代替性・多様性等による安定した水供給の確保
【背景・課題】
・令和6年能登半島地震において、水インフラが甚大な被害を受け、生活用水の確保が課題になった。
・被災地の一部では、地下水や湧水、雨水が活用されるなど、代替水源の重要性が再確認された。
【取組み例】
・水インフラの耐震化と早期復旧を実現する、上下水道が一体となった災害復旧手法を構築する。
・非常時、地下水等の代替水源としての有効活用。 ・災害対応上有効と認められる新技術の活用推進。

2. 施設等再編や官民連携による上下水道一体での最適で持続可能な上下水道の再構築
【背景・課題】
・人口減少に伴う収入減少、老朽化施設の増大などの課題解決の為に、上下水道一体での基盤強化が必要。
・気候変動の影響が顕在化しつつある現状である。
【取組み例】
・地域の実情を踏まえて、上下水道施設等の広域化を推進するとともに、分散型システムを検討する。
・上下水道一体のウォーターPPPを始めとした官民連携やDX導入等による事業の効率化・高度化を図ることで基盤強化を推進する。

3. 2050年カーボンニュートラル等に向けた地球温暖化対策の推進
【背景・課題】
降雨の極端化により大雨の発生頻度、無降水日ともに増加し、世界規模で大規模な自然災害が増加している。
・CO2排出量削減が急務課題。
【取組み例】
・流域一体でカーボンニュートラルに向けた取組を推進。
・官民連携による水力発電の最大化、上下水道施設等施設配置の最適化による省エネ化、ダムの運用の高度化を推進。
・渇水対策や治水対策などの適応策を推進する。

4. 健全な水環境に向けた流域総合水管理の展開
【背景・課題】
・地域の実情に応じた水循環の在り方が重要である。
・流域マネジメントの実施にあたっては、治水、水利用及び環境の各目的において、流域のあらゆる関係者が協働した総合的な取組を行うことが重要になる。
【取組み例】
・あらゆる関係者によるAIやデジタル技術などを活用した流域総合水管理を、各流域の特性を踏まえ全国へ展開する。
・地方公共団体等における流域総合水管理を踏まえた流域水循環計画策定を推進する。

その他の重要な取組み

新たな水循環基本計画では、普及啓発、広報、教育・人材育成、官民連携の促進、科学技術の振興、生態系の保全、国際連携や国際協力も重要な取組みとしています。本県でも、甚大な豪雨災害が発生しており、「健全な水循環」のための取組みの重要性がまさに高まっていると考えられます。

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