地域インフラ群再生戦略マネジメントのポイント(なんでもインフォ)

 

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はじめに
2012年12月2日、山梨県大月市の中央自動車道笹子トンネルで天井版が落下し、走行中の車が下敷きになり9名の命が奪われました。この事故を契機に2013年を「社会資本メンテナンス元年」に位置づけ、「事後保全」から「予防保全」への転換など、インフラメンテナンスの本格的な取組みがスタートしました。
昨年12月、これまでの10年間を第1フェーズとして、「第2フェーズ/総力戦で取り組むべき次世代の地域インフラ群再生戦略マネジメント(以下:インフラ群再生マネジメント)」が国土交通省の「社会資本整備審議会」にて取りまとめられました。今回のインフォでは、「インフラ群再生マネジメント」の中から、筆者が注目した点をピックアップします。

インフラ施設を「群」としてマネジメント

高度成長期に膨大な数のインフラ施設が建設されました。そのインフラ施設が約50年経過し老朽化を迎えています。一方で、技術系職員のいない市町村が全体の1/4に上り、単独の市町村でインフラ施設を維持管理するのには、人材面、財政面で限界があります。
「インフラ群再生マネジメント」とは、これらの課題を解消するため、既存の行政区に拘らず、複数の市町村を一つの生活圏として、一括でインフラ施設を維持管理する方法です。

市町村技術系職員に求められる技術

市町村の技術系職員不足の課題に対し、これまで明確にされていなかった「求められる技術の内容」が具体化されました。「契約体系の知見、導入しようとする技術の適正な評価」と、「施策に関するエビデンスに基づく説明力・広報力」です。技術力の整備・強化のためには、産学官の技術者OB・OGやデジタル専門技術者の活用が示されています。

新技術の開発

複数・広域・多分野のインフラ施設を「群」として捉え、戦略マネジメントを展開していくためには、第1フェーズに続き新技術の開発・導入が必要となります。
従来行われてきたUAVやコンクリート構造物変状部検知システムなど現地調査時の技術開発に加え、構造物の異常を予兆段階から検知する技術などの開発が求められています。

DXによるデジタル国土管理の実現

国土交通省では2020年度より、インフラの維持管理情報などのデータを検索・閲覧できる「国土交通データプラットフォーム」、2022年度より「全国道路施設点検データベース」を公開しています。
メンテナンスの高度化を図るために、DXによるデジタル国土管理を実現する必要があります。例えば蓄積されたデータをサンプルとしてAIを活用し劣化予測を行い、適切な修繕時期や手法を把握し、ライフサイクルコスト低減に繋がる取組みが必要となります。

自助、公助、共助に加え「近助」

これまでのインフラメンテナンスは行政が主体となって行ってきました。膨大な数のインフラを行政だけで進めるのは限界があり、また住民自らが、身近にあるインフラに関心を持ってもらうことが、インフラメンテナンスの高度化に繋がると考えています。これが「近助」の考え方です。
インフラメンテナンスに国民(住民)の参画を促すために、有効と考えられている手法がアウトリーチ的手法です。アウトリーチ的手法とは、出前講座、現場見学会、ダムカードやマンホールカードの配布など、インフラの内容を知ってもらう活動を指しています。

おわりに

「インフラ群再生マネジメント」とは、その名の通り「次世代の地域の将来像」を見据えて進めるものです。地域の安全な暮らし、地域の魅力向上を目的に、適切なインフラメンテナンスを確実に行うことが、何より大事であると考えています。

作成者:コンサルタント事業部 鈴木 浩行

 

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