エルニーニョ現象と暖冬(なんでもインフォ)
●はじめに
“今年は暖冬” 先日、このような見出しの記事を目にしました。読んでみると、今年の春から続く「エルニーニョ現象」を根拠とした予想のようです。内容は知らなくとも言葉自体は見聞きしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。今回のなんでもインフォでは、エルニーニョ現象を根拠とする暖冬予想について取り上げたいと思います。
●エルニーニョ現象とは
◇定義
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸(NINO.3:監視海域)の海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。
世界共通の定義はなく、気象庁では監視海域の海面水温の基準値(30年間の各月の平均値)との差の5か月移動平均値(その月および前後2か月を含めた5か月の平均をとった値)が6か月以上続けて+0.5°以上となった場合をエルニーニョ現象と定義しています。反対に、-0.5°以上の時はラニーニャ現象としています。
◇大気と海洋の状態
太平洋の熱帯域では、東風(貿易風)により海面付近の温度が高い海水が西太平洋熱帯海域(NINO.WEST)に集まります。南米側では、この東風と地球の自転により、深い海域からの冷たい海水が海面近くに沸き上がります。このため、海面水温は西太平洋側が高く、南米側では低くなります。
エルニーニョ現象時は、東風が平常時よりも弱くなり、西太平洋側に溜まっていた暖かい海水が南米側に広がるとともに、南米側では冷たい水の湧き上りが弱まります。このため、平常時よりも海面水温が高い地域が南米側に広がります。
●日本への影響
今年はエルニーニョ現象が発生しているため、冬期の西高東低の気圧配置が弱まって、気温が高くなる傾向から暖冬が予想されています。事実、気象庁で公表している「エルニーニョ現象と日本の夏と冬の天気の特徴」の統計データ(1948年~2021年)を見るとエルニーニョ現象発生時の冬の平均気温は高い傾向が見られます。
夏季の天候への影響としては、太平洋高気圧の張り出しが弱くなり、気温が低く、日照時間が少なくなる傾向が見られます。
●さいごに
今年は、暖冬になる傾向はあるものの一時的な大雪や寒暖差の大きな冬となる恐れがあるようです。
天気予報をよく確認して、積雪時の運転、寒暖差による体調不良に注意して過ごしましょう。