なんでもインフォ(落石対策工)

はじめに
日本は国土の約 3/4 が山地であること、他国に比
べて台風、大雨などの自然災害が発生しやすいこと、
全世界で起こったマグニチュード6以上の地震の約2
割が日本周辺で発生するほどの地震大国であること、
などの理由により落石発生のリスクが高い国と言え
ます。
落石が発生した場合、道路が落石による通行止め
で復旧に時間がかかったり、通行中の車や人に衝突
することで人命が失われるなど、甚大な被害が生じ
る可能性があります。そのため、落石による被害か
ら人命や社会インフラを護る落石対策工の重要性は
高いといえます。
今回は、落石対策工の種類と落石対策工の中で近
年、技術開発が進んでいる高エネルギー吸収型の落
石防護工である「高エネルギー吸収型落石防護柵工」、
「高エネルギー吸収型ポケット式落石防護網工」に
ついて紹介します。
落石対策工の種類
落石対策工は『落石予防工』と『落石防護工』の
大きく 2 つに分類されます。
『落石予防工』は、斜面内の浮石や転石を除去、
あるいは斜面に固定するもので、落石発生源からの
落下を予防する工法です。『落石予防工』の工種とし
ては、「ワイヤロープ掛工」、「除去工」、「根固め工」、
「接着工」等が挙げられます。
『落石防護工』は、斜面の途中や道路際、道路上
に施設を設置し、斜面から落下する落石の直撃から
道路等を保護する工法です。『落石防護工』の工種と
しては、「落石防護柵工」、「ポケット式落石防護網工」、
「落石防護棚工」、「落石防護擁壁工」、「ロックシェ
ッド工」等が挙げられます。また、「落石防護柵工」、
「ポケット式落石防護網工」には高エネルギー吸収
型と呼ばれる工法もあります。
落石エネルギーの算出
『落石防護工』が対象落石に対して適用可能かど
うかを検討するためには、落石エネルギーを算出す
る必要があります。落石エネルギーは、以下の式に
より算出することになっています。
落石の形状が一辺2mの直方体, 等価摩擦係数μ=
0.35,斜面勾配θ=45°,単位体積重量 2.6t/㎥,落下
高 H=30m の条件で落石エネルギーを算出した場合、
E=1.1×(1-0.35/tan45°)×23×2.6×9.8×30
=4372.4kJ
となります。
高エネルギー吸収タイプの適用範囲拡大
以前は、「高エネルギー吸収型落石防護柵工」の対
応落石エネルギーは 1500kJ 程度、「高エネルギー吸
収型ポケット式落石防護網工」の対応落石エネルギ
ーは 750kJ 程度でした。そのため、落石エネルギー
がこれより大きい場合、「ロックシェッド」や『落石
予防工』で対策する必要がありました。
しかし、現在では技術開発が進み、より大きい落
石エネルギーに対応可能な高エネルギー吸収型の
『落石防護工』が数多く登場しています。以下に一
例を示します。
強靭防護網は落石エネルギー5000kJ に対応可能な
「高エネルギー吸収型ポケット式落石防護網工」で
す。また、マクロフェンスは落石エネルギー5000kJ
に対応可能な「高エネルギー吸収型落石防護柵工」
です。これらの工法は実物大実験を行い、その性能
を確認しています。
これらの高エネルギー吸収型の『落石防護工』の
登場により、これまで「ロックシェッド」や『落石
予防工』でしか対応できなかった規模の落石に対し
ても対応可能となりました。
おわりに
対象となる斜面の状況、落石発生源となる転石・浮
石の形状や数等によって、最適な落石対策工は異なり
ます。現地条件に応じて、落石対策工を組合せ、計画
することが重要です。


