なんでもインフォ(橋の設計と力学の初歩)

設計における力学の役割
17 世紀、アイザック・ニュートンはリンゴの実が木の枝か
ら落ちる様子を目にし、「万有引力」のアイデアを思いついた
と伝えられています。こうした多くの科学者の功績により、物
体の挙動を説明する「力学」が発展を遂げ、より強靭で合理的
な建物や構造物の設計方法が確立することとなりました。
物体に力が作用したとき、物体の内部にはその力に応じて抵
抗が生じます。外部からの作用による力を「外力」、それに抵
抗するために内部に生じる力を「内力」と呼んで区別します。
リンゴの実を枝が支えているとき、枝の結合部の下端には実
の重量分の力が外力として作用するため、結合部は上方に持ち
上げるような抵抗力で実を支えます。この時、結合部を小さな
部品(要素)の集合体として捉えると、各要素は下の要素から
引張の力が働いて、それを上の要素へと伝えています。
桁橋の場合
橋梁の上部工形式のうち最も多いのは桁橋ですが、これは設
計上ではしばしば梁としてモデル化されます。単純支持の梁部
材に上から外力がかかると、曲げの作用により下方向に沈み込
むたわみ変形が生じます。このとき、部材断面の上側は圧縮応
力によって縮み、下側は引張応力によって伸びます。
図 2(a)はRC 梁の解析モデルで、(b)は変形と内力分布の模式
図です。部材を小さな要素の集まりとして考えると、それぞれ
の要素には隣接する要素同士での圧縮・引張応力やせん断応力
が合成して作用します。荷重が増加すると RC 梁では下縁から
鉛直方向の曲げひび割れが進展し、やがて斜め方向のせん断ひ
び割れへと発展します(図 2(c))。
アーチの場合
アーチ橋は、弓なりのアーチ部材を用いて荷重を伝達する橋
梁です。先ほどの梁では上側に圧縮、下側に引張が作用してい
ましたが、アーチ橋では内力の方向が部材軸の方向へと変換さ
れ、部材の要素にはほぼ圧縮力のみが作用する状態となります。
アーチのこの特徴は、石やレンガのような圧縮に強い部材には
都合が良く、特に近代より以前の橋にはアーチ橋が多く見られ
ます。
トラスの場合
部材が三角形の網目状に連なる橋は力学的にはトラス橋に
当たります。下図 4(a)のように、単純下路トラス橋に荷重を載
荷すると、上弦材には圧縮、下弦材には引張の力が作用します。
図 4(b)のコンター図では、圧縮応力は寒色系、引張応力は暖色
系で表示しています。各々の部材には圧縮もしくは引張のどち
らかの軸力のみが作用していますが、構造物全体では梁の場合
と同じく上側が縮み、下側が伸びることで、下に凸の変形が生
じます。
おわりに
コンピュータの発達により、構造解析はより便利に扱いやす
くなりましたが、その結果として、使う側に知識や経験がない
と、検討の不足や結果の不合理な点を見逃し、設計不良を引き
起こす事態も考えられます。設計者個々人の本質的な理解は依
然として求められています。
発 行 株式会社 昭和土木設計
岩手県矢巾町流通センター南4丁目1番23号
Tel 019-638-6834 Fax 019-638-6389
作成者:コンサルタント事業本部
八重樫 大樹
株式会社 昭和土木設計の紹介
弊社は、道路、河川・砂防、橋梁等の計画・設計、CIM,i-Constructionに対応した3次元空間計測及
び設計を行っております。
”なんでもインフォ“のバックナンバーについてはhttp://www.showacd.co.jp をご覧ください。
橋の設計と力学の初歩
圧縮(寒色)
引張(暖色)
荷重
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(a)枝に支えられるリンゴ (b)結合部の拡大
(a)単純梁の載荷
(c)ひび割れ解析結果コンター図
(b)変形・内力分布概要
荷重
せん断
図 1 リンゴへの重力作用
図 2 RC 梁単純梁の解析
(a)単純トラスの載荷
(b)応力コンター図
図 4 単純トラスの解析
荷重
図 3 単純アーチの解析
(b)内力分布概要
(a)応力コンター図
解析には、DIANA FEA 社製「DIANA」を使用しました


