道路・橋・川・トンネル。
暮らしを支えるこうしたインフラは、つくって終わりではありません。
まちに何が必要かを調べ、安全で長く使える形に設計し、
完成した後も点検しながら守り続ける。
その全体を担うのが、私たちの仕事です。
まちの現状や課題を調査・分析し、インフラに本当に必要なことを明らかにします。
安全で使いやすく、環境にも配慮した最適なインフラのかたちを設計します。
完成後も点検・診断を行い、長く安全に使えるインフラを守り続けます。
橋も、道路も、川も、トンネルも。ひとつのまちの風景の中に、私たちの5つの仕事があります。それぞれの技術がつながり合い、地域の暮らしを支えています。
橋は、まちと人をつなぐ存在です。 計画・設計から点検・維持管理までを担い、 老朽化する橋を次の世代へつないでいます。
橋は一度架けたら、数十年にわたって使われ続けます。橋梁維持管理は、その橋が「今どんな状態か」を定期的に点検し、ひび割れ・サビ・コンクリートの劣化などを一つひとつ確認していく仕事です。見つかった傷みがどれくらい深刻なのか、放っておくとどうなるのかを診断し、いつ・どこを・どう直すかという計画を立てます。限られた予算のなかで優先順位をつけながら、橋を少しでも長持ちさせる。いわば「橋の主治医」として、地域の人が毎日あたりまえに橋を渡り続けられる状態を守る仕事です。
損傷の多くは、コンクリートの内部や桁の裏側など「目に見えない場所」で進みます。しかも同じ橋は二つとなく、環境も構造も劣化の進み方も違うため、教科書どおりにはいきません。一本のひび割れから原因と将来の進行を読み取り、「今すぐ直すべきか、様子を見るか」を見極める。経験と観察力が問われます。
何よりも、利用者の安全を第一に考えること。そして、小さな変化も見逃さないこと。図面やデータだけで判断せず、必ず自分の目で現場を確かめる。地域の暮らしを支えているという責任感を持って、一つひとつの橋に向き合っています。
橋梁や周辺環境を3次元データ化。損傷状況の把握から設計・維持管理まで、幅広く活用しています。
「ただ直すだけではなく、将来どう使われるかまで考える。安全を守りながら、その橋に最適な補修を考えています。」
橋梁構造課/S(男性)
架橋地点の課題に応じた最適な橋を提案します。
劣化要因を除き、再劣化を防ぐ補修を設計します。
複雑な挙動を解析し、経済的な工法を提案します。
新しい道路の計画から、 既存道路の改修・交通安全対策まで。 人とモノの流れを支え、 地域の暮らしを動かす道をつくります。
道路をつくるとき、いきなり工事が始まるわけではありません。どこにどんな道を通せば安全で使いやすいか、周りの家や地形、地下に埋まった管などとぶつからないかを、コンピュータ上に立体(3次元)のモデルをつくって検討するのが道路3次元設計です。完成した道の姿を工事の前にリアルに再現できるので、地域の方や関係者と「こういう道になります」というイメージを共有しながら合意を進められます。図面だけでは分かりにくかった完成形を、誰の目にも分かる形にして、スムーズで手戻りのない道づくりにつなげる仕事です。
平面の図面では、坂の勾配や周辺との高さ関係、地下に埋まった配管などが伝わりません。それらを立体で矛盾なく、しかも実際に工事できる形にまとめ上げる必要があります。走りやすさ・安全性・施工のしやすさ、さらに完成後の維持管理まで見据え、多くの条件を同時に満たす最適解を探る総合力が求められます。
完成後に「見えなくなる部分」ほど、事前にしっかり作り込むこと。関係者みんなが同じ完成イメージを持てるよう、分かりやすく伝えること。使う人の毎日の移動を想像しながら、安全で気持ちよく走れる道を設計することを大切にしています。
3次元モデルを活用し、完成前の道路をさまざまな視点から確認。地下や地形との関係も可視化することで、設計内容を分かりやすく共有し、よりスムーズで精度の高い道路設計につなげています。
「初めて自分で設計した道路が、実際に施工されていく。その過程に関われたことは、今も強く印象に残っています。」
道路設計課/S(男性)
UAV測量で周辺の家屋・地表面の点群を取得します。
3次元地形を基に側溝・擁壁などを設計します。
目的に応じた詳細度で3次元モデルを作成します。
トンネルの維持管理や斜面防災など、 地盤に関する調査・対策に携わっています。 見えない危険をいち早く捉え、 事故が起きる前に手を打ちます。
トンネルは、山を貫いて人や車の通り道をつくる構造物です。トンネル維持管理は、その内部を点検し、壁のひび割れや水のしみ出し(漏水)といった変化がないかを確認して、その奥で地山(周りの岩や土)がどう動いているかを読み取る仕事です。異変が見つかれば、どの程度危険なのか、どんな対策が必要かを診断し、補修の計画を立てます。暗く閉ざされた空間の小さな異変を見逃さないことが、そこを通る人の安全に直結します。日々の点検の積み重ねが、事故のない毎日を支えています。
トンネルは地下の暗所にあり、変状は少しずつ進行します。しかもその原因は、目に見えない地山の動きにあります。表面のひび割れの向きや漏水の位置といったわずかな手がかりから、内部で何が起きているかを推測しなければなりません。今の状態が「落ち着いている」のか「進行中」なのかを見極める、繊細な判断力が要ります。
事故が起きてから対応するのではなく、その前に防ぐ「予防」の視点を持つこと。ほんの小さな変化も見逃さず、記録し続けること。交通を止められない厳しい条件でも、安全のために妥協しないこと。「何も起きないこと」を最大の成果と考えています。
ウェアラブル端末やタブレットを活用し、現場の映像や音声をリアルタイムで共有。離れた場所からでも現場状況を確認できる「遠隔臨場」により、移動負担を減らしながら、効率的な確認や情報共有につなげています。
「『このひび割れは進行しているのか。』過去の記録と3次元データを見比べながら、小さな変化を確かめています。」
地質防災課 /E(男性)
必要な情報に応じて、ボーリングや探査など最適な調査方法を提案します。
斜面の状態を調査・解析し、落石や崩落を防ぐための対策を検討します。
地盤の性状や構造を調べ、災害リスクの把握や設計に活かします。
水害から地域を守るため、護岸・砂防施設を 調査・計画・設計しています。 河川の環境保全にも配慮し、 備えと自然との共存を両立させます。
大雨や台風のたびに、川はあふれ、土砂は流れます。河川の改良・復旧設計は、災害のリスクが高い川や、実際に被害を受けた川を、より安全な形につくり変える仕事です。川岸を守る護岸や、土砂をせき止める砂防施設を計画し、水の力から人々の暮らしを守ります。同時に、川にすむ生き物や景観といった自然環境にも配慮する。防災と環境の両方を見すえながら、地域が安心して暮らせる水辺をつくっていく仕事です。
相手は自然そのものです。水の流れや土砂の動きは複雑で、雨の降り方ひとつで状況が変わります。安全性を高めようとすればするほど、自然環境への影響も大きくなりやすく、その両立に唯一の正解はありません。流域全体を読み解き、「どこまで人の手で守り、どこを自然に委ねるか」を判断する、幅広い視野が求められます。
人の命と暮らしを守ることを最優先にしながら、その土地の自然とどう共存するかを丁寧に考えること。被災した地域の方々の不安に寄り添うこと。安全と環境という、時に相反する価値を、あきらめずに両立させることを大切にしています。
ARや3次元モデル、グリーンレーザスキャナを活用し、現地で完成イメージを確認したり、水中を含む地形を立体的に把握。より分かりやすく正確な現況把握を、河川・砂防の調査や設計に活かしています。
「経済性だけで答えを出せない。防災と自然環境への配慮を両立させるために、何を優先するかを考えています。」
河川砂防課 /Y(女性)
3次元モデルを活用し、構造形式や施工性を検討しながら砂防施設を設計します。
既存施設を3次元モデルなどで可視化し、補修方法を検討します。
河川環境や生態系に配慮し、自然と調和した水辺づくりを検討します。
計測・モデル化・解析・システム開発までを自ら担い、 土木の仕事そのものを進化させる分野です。 人手不足や技術継承の課題に、 デジタルの力で応えます。
これまで土木の現場は、紙の図面と技術者の経験に支えられてきました。建設DXの代表業務である3次元計測とデジタルモデリングは、レーザーやドローンを使って現場をまるごと立体データとして記録し、誰もが扱えるデジタルモデル(BIM/CIM)につくり変える仕事です。橋も道路も川も、正確な3次元データにすることで、設計や点検、災害対応まで、あらゆる業務がより速く・安全に・正確になります。土木の仕事の「土台」そのものを新しくしていく仕事です。
ただ計測すればよいわけではありません。現場ごとに地形も構造物も条件も違うため、「後の設計や維持管理で本当に使える形」に整えるところに難しさがあります。何を、どの精度で計測し、どうモデル化すれば現場で活きるのか。膨大な点群データから必要な情報を見極め、使う人の立場で最適な形を判断する力が求められます。
技術のための技術で終わらせず、「現場で本当に役立つか」を常に問うこと。新しい技術を、現場に寄り添いながら少しずつ根づかせていくこと。ベテランの知恵をデジタルで形に残し、次の世代へつないでいくこと。土木の未来を見すえながら、足元の現場を大切にしています。
「まず考えるのは、「何のために3次元を使うのか。」目的を理解し、その業務に合った技術を選んでいます。」
ICT推進室 /I(男性)
UAVやLiDAR SLAMを活用し、現場を立体的に把握。調査・設計・維持管理の効率化につなげます。
道路維持管理などの業務を効率化するため、各種システムを開発し、情報管理や業務支援に活用しています。
UAV測量や3次元データを活用し、被災状況を迅速に把握。復旧に必要な調査や検討を支援します。